特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は3日、会員施設の経営状況を明らかにする調査の結果(速報値)を新たに公表した。【Joint編集部】
それによると、昨年度は62%の特養が赤字。前年度(43%)より19ポイント上がって過去最悪となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が残るなか、急激な物価高騰に伴うコストの増大が追い打ちをかけた形だ。
全国老施協の大山知子会長は3日の集会で、「想像以上に厳しい数字だ。この状況では全くやっていけない。事業継続は困難と言わざるを得ない。まさに介護崩壊の危機にある」と強調。来年度に控える次の改定で介護報酬の大幅な引き上げが必要、との認識を改めて示した。
この調査は全国のおよそ1600の特養が対象。昨年度の決算などを全国老施協が取りまとめた。コロナ禍や物価高騰などを踏まえた補助金を加味しても、全体の半数を超える51%の施設が赤字に陥っていた。
昨年度の特養の収支差率はマイナス2.8%。プラス0.8%だった前年度から3.0ポイント低下し、こちらも過去最悪となっていた。また、併設デイサービスの収支差率はマイナス5.0%と更に低くなっている。
大山会長は集会で、「介護報酬の大幅なプラス改定を勝ち取るために一致団結して行動していく。この国の介護・福祉を守るために、我々の声を集約して国に届けていく」と表明。これから年末にかけて、団体の総力をあげて各方面への働きかけを強めていく意向を示した。