要介護2以下の訪問介護・通所介護を総合事業へ移す案、慎重論が大勢 一部委員は支持=介護保険部会
厚生労働省は12日、2024年度の介護保険制度改正をめぐる協議を進めている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)を開催し、要支援者への訪問型サービス、通所型サービスなど「総合事業」を俎上に載せた。【Joint編集部】
この中で“検討の視点”として、「住民主体の多様なサービスや民間企業の生活支援サービスなども含め、要支援者らの状態・希望に合った相応しいサービスを選択できるようにすることが重要」と説明。今後の論点として、
○ 市町村が地域の実情に応じた総合事業を推進するのを支援するにあたって、どのような方策が考えられるか
○ ケアマネジャーが適切なインフォーマルサービスを選択できるようにするため、どのような方策が考えられるか
などを提起した。一方、要介護1、2の高齢者への訪問介護、通所介護を総合事業へ移す改革案には触れなかった。
財務省などが繰り返し実現を迫っているこの改革案について、会合では一部の委員が、給付費の適正化に向けて具体化を図るべきだと主張した。ただし、大勢を占めたのは慎重論だ。「総合事業の対象者を拡大する前に、これまでの効果の検証が必要」「重度化の予防や介護離職の防止に逆行する」などの声があがった。
総合事業の大きな特徴は、地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを柔軟に設定することができる点。要支援者の支援ニーズの中身が多岐にわたることを踏まえ、必ずしも画一的でない多様なサービスを効果的・効率的に提供できるようにする狙いがある。
こうした多様なサービスは少しずつ広がっているものの、報酬が低いこともあってまだ必ずしも十分に普及しているとは言えない。財務省はこの仕組みを要介護2以下の訪問介護、通所介護にも拡大することで、給付費の膨張や現役世代の負担増を抑えるべきと提言している。