厚生労働省は5日、介護保険の福祉用具貸与・販売の制度改正をめぐる検討を進めてきた有識者会議を開き、これまでの議論を整理した報告書をまとめた。【Joint編集部】
事業者、ケアマネジャーらに向けた「福祉用具の選定の判断基準」を見直す方針を盛り込んだ。利用者の自立を後押ししていく観点から、過不足のない適切な給付を更に推進していくことが狙い。スケジュールなど詳細は今後詰める。調査・研究事業なども実施してその成果を反映させていく考えだ。
厚労省の「福祉用具の選定の判断基準」は、利用者の状態と合わないものが提供されて本人の自立支援を阻害するケースを防ぐこと、などを目的とするもの。およそ4500の利用事例を検証した結果に基づき、今から18年前の2004年に策定された。個々の福祉用具ごとに、利用者の「使用が想定しにくい状態」、「使用が想定しにくい要介護度」を提示。例えば自走用車いすの場合、以下のようにまとめられている。
《 例:自走用車いす 》
○ 使用が想定しにくい状態=つかまらないで歩行できる
○ 使用が想定しにくい要介護度=要支援
※ あくまで標準的な目安。利用者の生活環境や解決すべき課題などによっては、使用が考えられるケースもある。
厚労省は今回の報告書で、見直しの必要性を「2004年の策定以降に給付対象として追加された福祉用具もある」「市場拡大により福祉用具の種類も豊富になっている」と説明。併せて、多職種連携の促進や地域ケア会議の活用などにもつなげたいとした。
このほか、疾病・疾患による分類の整理やLIFEへの対応、判断基準内容の細分化にも取り組むと記載。同一種目の複数給付も含めた“適切な提供量”について考え方を整理したり、社会参加の視点を加味したりする意向も示した。