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2023年7月24日

介護の外国人材、規制緩和を検討 厚労省 訪問介護への従事など焦点 年内に方向性

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《 24日の厚労省の有識者会議(Web会議)》

厚生労働省はこれから年末にかけて、介護現場で働く外国人をめぐるルールの見直しを検討していく。【Joint編集部】

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新たな有識者会議の初会合を24日に開催。介護現場を支える人材を確保していくこと、外国人が幅広く活躍できる環境を整えることなどを目指し、技能実習や特定技能、EPA(経済連携協定)の規制緩和を論点とする方針を示した。


厚労省は「検討事項」として、対象サービス、受け入れ主体、人員配置基準に関する現行規制を取りあげた。今後、次の3つを緩和するかどうかの議論を掘り下げていく計画だ。

(1)技能実習、特定技能、EPAについて、外国人の訪問系サービスへの従事を認めていない。

(2)技能実習について、外国人を受け入れる施設・事業所は設立から3年以上が経過していなければならない。

(3)技能実習、EPAについて、外国人は就労開始から6ヵ月経たないと施設・事業所の人員配置基準の構成者としてカウントできない。

これらはいずれも、介護サービスの質を維持することや外国人を不当な扱いから守ること、適切な教育・研修体制を確保することなどを目的に設けられている。


例えば、(1)の訪問系サービスの現行規制。文化の違いや言語の壁なども無いとは言えないなか、利用者の住まいへ1人で行ってマンツーマンのケアにあたるという特性を勘案すると、利用者・外国人それぞれの権利擁護や適切な指導が難しいという懸念がベースにある。また、(2)の3年以上の運営実績を施設・事業所に求める現行規制ができた背景には、外国人の受け入れには「一定の経営の安定が必要」という認識があった。

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この日の会合では、現場の関係者らで構成する委員から規制緩和への慎重論と積極論の双方が展開された。


(1)の訪問系サービスの現行規制については、複数の委員が「外国人1人での訪問はやはり難しいのではないか」などと懸念を表明。一方で、「集合住宅の併設事業所などでは対応できる」「外国人の在留年数などを考慮に入れてもいい」「複数名が同行する訪問入浴なら可能」といった提言もなされた。


このほか(2)の3年以上の現行規制については、「新規開設でもしっかりした体制をとっている施設・事業所はある」「施設・事業所単位ではなく法人単位で捉えるべき」といった声が相次いだ。(3)の人員配置基準については、「カウントできない期間が半年もあると経営的に厳しい」「日本語スキルも含めて一定の教育・研修の期間は必要」などの意見が出た。


厚労省は今後、技能実習制度の廃止、新制度の創設に向けた政府全体の動きも見ながら議論を進め、具体的な対応策を描く報告書を年内にまとめる予定。人材確保につなげる規制緩和とサービスの質の担保を両立させる仕組み・要件をどう作るか、が大きな課題となる。年内の報告書をいつ実行に移すかについて、担当者は「未定。今はまだ見通せない」と述べるにとどめた。


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