福祉医療機構(WAM)は先月末、病院や介護施設、保育所などの建設費の動向を把握する調査の最新の結果(2022年度)を公表した。【Joint編集部】
建設工事費を延床面積で割って算出する平米単価をみると、特別養護老人ホームの新築工事の全国平均は32万7000円。前年度から1万8000円上がり、調査が始まった2008年度以降で最高となった。10年前の2012年度と比べると1.5倍に上昇している。
特養の定員1人あたりの建設費は1612万1000円。前年度から196万4000円上がり、こちらも過去最高を記録した。このほか、保育所・認定こども園の平米単価、定員1人あたりの建設費も最高だったと報告されている。
WAMはこうした結果について、「ウクライナ情勢で国際的なサプライチェーンが分断され、資材不足が顕在化した。加えて歴史的な円安なども影響した」と分析。「建設費は高止まりの状況で、それは医療・介護・福祉分野のみならず建設業界全体の傾向」と説明した。今後の見通しについては、以下のような見解を示している。
「2024年度には、建設業にも適応される時間外労働の上限規制、いわゆる“建設業の2024年問題”が控えており、労務費の増大に伴う建設費の更なる押し上げが見込まれる。今後も下落に転じる要素が見当たらず、建設費は長期的な高止まりが続くと予測される」