今回が実質的なキックオフ。課題が山積している介護保険の進む道をめぐる議論は、これから年末にかけて徐々に熱を帯びていく。【Joint編集部】
厚生労働省は24日に社会保障審議会・介護給付費分科会を開き、来年4月に迫る次の介護報酬改定に向けた検討を開始した。介護サービスの運営基準や基本報酬、各種加算などをどう見直すか話し合い、年内に大枠の方針を固める。
会合ではまず、「介護分野の最近の動向」と題するプレゼンで基本的な認識の共有を図った。高齢化の進み具合が地域ごとに異なること、全体としては介護ニーズの拡大と給付費の膨張が加速度的に進んでいくこと、現役世代の急減で人材確保が一段と難しくなっていくこと、などを改めて説明した。
厚労省はそのうえで、基本的な検討の視点として次の4つを提示した。
○ 地域包括ケアシステムの深化・推進
○ 自立支援・重度化防止を重視した質の高い介護サービスの推進
○ 介護人材の確保と介護現場の生産性の向上
○ 制度の安定性・持続可能性の確保
これから夏頃までディスカッションを重ね、こうした視点に沿った課題の洗い出し、各サービスの論点の整理などを進めていく。9月頃には介護事業者の意見を聞くヒアリングも行う。
議論はそこから佳境に入る。秋から年末にかけて各論が取り上げられ、具体的な改定の姿も徐々に明らかにされていく。政治サイドでは全体の予算セットをどうするか、関係者間の調整が活発化する。
この日の意見交換では、人材確保につなげる観点から介護職の追加的な処遇改善の必要性を指摘する声が相次いだ。来年度は診療報酬との同時改定となるため、看取りも含めて医療との連携を強化する施策を講じるよう促す意見も多かった。