厚生労働省は7日、原則として要介護3以上の高齢者としている特別養護老人ホームの入所基準について、運用ルールなどをまとめた指針を改正した。【Joint編集部】
要介護1、2でも施設へ入れるようにする「特例入所」の趣旨の明確化を図った。
やむを得ない事情で在宅生活の継続が困難なケースで認めているが、こうした事情を十分に考慮して判断すべきことを改めて強調。全国の自治体に対し、画一的でないきめ細かな対応をとるよう重ねて促した。
介護保険最新情報のVol.1141で現場の関係者に広く周知している。
指針には以前から、次のようなケースで特養の「特例入所」を検討するよう記載されている。
○ 認知症や知的障害、精神障害などにより、日常生活に支障をきたすような症状・行動が頻繁に見られ、在宅生活の維持が困難な状態
○ 家族による深刻な虐待が疑われるなど、心身の安全・安心の確保が困難な状態
○ 家族による支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の提供も十分に期待できないことなどにより、在宅生活の維持が困難な状態
厚労省は今回の改正で、こうした個々の事情を十分に勘案して入所の必要性を考えるよう求める文章を追記。「地域の実情などを踏まえ、各自治体で必要と認める事情があればそれも考慮すること」とも書き足した。
特養の「特例入所」をめぐっては、現場の関係者らが「自治体の運用にばらつきがある」「一切認めない自治体がある」といった不満の声をあげていた経緯がある。
厚労省は今回、要介護3以上という原則は変えずに趣旨の明確化を図った形。昨年末にまとめた審議会の意見書には、「地域の実情を踏まえた適切な運用を図る」との方針を明記していた。