2023年1月13日
SOMPOケア「介護施設ごとに適正な人員配置は異なる。画一的な基準で縛るのは現実的ではない」
センサーやAI、ICTといったテクノロジーをフル活用して業務を効率化すれば、サービスの質を下げずに介護施設の人員配置基準を緩和できるのではないか − 。
こうした構想を試す実証事業を国と行っているSOMPOケアが12日、都内で記者会見を開催。遠藤健代表取締役会長 CEOはその成果について、「かなりの手応えがある」と述べた。【Joint編集部】
SOMPOケアは自社の12の介護付きホームで、昨夏から実証事業を実施。現在は厚生労働省などが、現場で得られたデータの分析・取りまとめを進めている。
遠藤CEOは会見で、「12施設で全て一律の成果が出た、というわけではない。例えば利用者の状態、職員の熟練度、施設長のマネジメント力など、個々の施設の状況・環境によって業務を効率化できた度合いが違う、という非常に自然な結果が出た」と報告。「人員配置基準の緩和をめぐる議論は国の審議会などに委ねたい」と語った。
実証事業を担当する取締役執行役員の藤崎基氏は、「施設ごとに個別性、多様性、特殊性がある。例えば利用者の平均要介護度が2の施設と4の施設。同じサービスの質を保とうと考えた時に、なぜ一律に3対1という人員配置基準が正しいのか。そのことを問題提起したい」と趣旨を説明。「施設の状況・環境によって適正な人員配置は異なるはず。3対1や4対1という画一的な基準で縛るのは現実的ではないし、それでは介護事業の発展にもつながらない」と強調した。
あわせて、「我々は拙速に一律で4対1へ緩和して欲しいと主張しているわけではない。介護現場のリアルは多様性・複雑性だということを、今回の実証事業でしっかりと提示していきたい。そうしたファクトデータが出ているので、議論は国の審議会などに委ねたい」と述べた。