障害者福祉の充実に向けた議論を重ねてきた国の審議会が13日に報告書をまとめた。「高齢の障害者に対する支援」というチャプターの中で、いわゆる「介護保険優先原則」にも言及している。【Joint編集部】
厚生労働省はこの原則を維持する立場を保ちつつ、既出の通知などでアナウンスしてきた「一律に介護保険サービスが優先されるものではない」との認識を改めて明記。市町村ごとの対応の差異をなくし、個々の状況を丁寧に勘案したきめ細かい支援が提供されるようにするため、運用の”留意すべき具体例”を発出する方針を示した。
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「介護保険優先原則」は、障害福祉サービスと同様のサービスを介護保険のスキームでも利用できる場合に、まずは介護保険の方を利用してもらうというもの。厚労省は利用者の状態、環境、希望などを踏まえた柔軟な運用を認めているが、行政への不満を口にする関係者は多い。審議会のこれまでの議論でも、「原則の下で弾力的な対応ができていない市町村もある」との声があがっていた。
厚労省は今回の報告書に、「より適切な運用がなされるよう、まずは”留意すべき具体例”を示す」と記載。「具体例を示すことで、かえって例示されていないケースが一律に認められない、といった不適切な運用につながらないよう注意する。ICTを活用するなど工夫しながら丁寧に周知する」と説明した。
厚労省はこのほか、相談支援専門員と介護支援専門員の連携の更なる強化を図る考えも盛り込んだ。また、65歳を超えて介護保険サービスを使い始めることで生じる自己負担などを軽減する仕組み(新高額障害福祉サービス等給付費)について、使いたい人が使えるよう周知を徹底していく方針も示した。