

居宅介護支援の事業所には、主任ケアマネジャーを管理者として配置することが求められている。ただ現在、この運営基準は経過措置の期間中。もともと管理者を務めていたケアマネであれば、主任でなくても管理者を続けられる例外が認められている。
問題は、この経過措置が来年度末に期限を迎えることだ。予定通り廃止すべきか否か、次の介護報酬改定の論点の1つになるとみられる。【Joint編集部】
居宅介護支援のみを運営する事業者としては国内最大規模の株式会社マロー・サウンズ・カンパニーを訪ね、田中紘太代表にこの経過措置の行方やあり方を聞いた。
田中氏は、「このまま何もしないと、居宅介護支援事業所が大幅に減少する結果を招く。ただでさえ数が減っている状況を踏まえると、経過措置を延長したり管理者要件を見直したりするしかないのではないか」との見方を示した。
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厚生労働省の2022年度の調査結果によると、既に主任ケアマネが管理者を担っている事業所はおよそ80%となっている。田中氏はこれを踏まえ、このまま経過措置が終わると全体の5%から10%の事業所は運営を続けられなくなると警鐘を鳴らす。
「もう一段ガクッと減る。厚労省もさすがに、経過措置をこのまま単に廃止するとは言えないだろう。もし10%減るような事態になれば、全国で約3600事業所がなくなる(*)ことになる。影響は大きい」
* 2024年4月でみると、居宅介護支援の事業所数は全国で3万6459ヵ所。
田中氏は望ましい具体策として、経過措置の延長とあわせた“管理者研修”の新設をあげた。
「主任ケアマネ研修は重要だが、事業所の管理業務についてしっかり学べるとは言えない。居宅介護支援に特化した内容でもなく、必ずしも管理者要件と合っていない」と指摘。「主任ケアマネ研修と管理者研修を分け、それに合わせて管理者要件も見直した方がよいのではないか。新人・未経験を認めるのは難しいので、一定の実務経験を要件に加える(3年~5年程度)ことも一案。管理業務は事業所の運営にとって極めて大切だ。これに特化した研修を作ることは、人材確保やケアマネジメントの質の向上にもつながる」と述べた。