

介護老人保健施設の介護報酬には、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて設けられた特例が現在も残されている。クラスターの発生で対応に追われる施設が後を絶たない現状を踏まえ、厚生労働省はこれを新年度以降も存続させる方針だ。【Joint編集部】
24日に開催した審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)でこうした方針を説明し、大筋で了承を得た。25日には介護保険最新情報のVol.1368を出し、現場の関係者に広く周知した。
老健の介護報酬は、在宅への復帰率やベッドの回転率などの実績が良ければ高くなる設計となっている。このため、クラスターが発生すると施設経営は大きな打撃を受ける。利用者の入退所を止めざるを得なくなる結果、それまでより低い介護報酬しか受けられなくなってしまう。
老健の現行のコロナ特例は、クラスターを防ぐ戦いを今なお続ける現場を守るための措置。何の落ち度もない施設が不利益を被ることのないよう、感染拡大に伴う在宅復帰率などの低下の影響を除外できる仕組みになっている。
厚労省は今回の審議会で、現行のコロナ特例を廃止すると老健の継続的・安定的な運営に支障が出かねないと説明。新年度から更に2年間継続し、その後の対応は2027年度の介護報酬改定に向けて検討する意向を示した。
厚労省は多くのコロナ特例を既に廃止しているが、この老健のコロナ特例は重要性などを勘案して今年度まで存続させてきており、新年度以降の扱いが検討課題となっていた経緯がある。