

日本介護経営学会が今月9日に「ケアマネジメントの未来」をテーマに開催したシンポジウムで、日本介護支援専門員協会の柴口里則会長が登壇した。【Joint編集部】
柴口会長はこの中で、複雑化・複合化したニーズを抱える高齢者らを地域で支える「トータルケアマネジメント(*)」の重要性を強調。「これを業務として展開していくための仕組みづくりが必要だ」と提言した。
* トータルケアマネジメント=自立支援・重度化防止を目的として、介護保険制度の枠にとどまらず、日常生活全般にわたる多様な相談を受け、アセスメントでも居住環境や家族関係、地域社会での活動状況など広範囲の課題を分析し、介護保険制度の枠を超えた多様な支援につなげるための仲介・調整などを行うケアマネジメント。
具体策としては、給付管理と居宅介護支援の報酬が連動する現行の仕組みの見直しをあげた。
柴口会長は、「介護支援専門員は高齢者・家族の相談に真摯に応じているが、給付管理に至らなければ報酬を得られない。これまでずっとそうだったが、今後はどうするのか」と問題を提起。「トータルケアマネジメントが一段と求められるなか、しっかりと環境を整備していかないといけない」と呼びかけた。
あわせて、ケアマネジャーの相談支援体制の強化と相談業務への評価、無理なシャドウ・ワークを減らすことによる負担の軽減なども訴えた。
柴口会長はこのほか、学卒者が直接的にケアマネジャーの資格を取れる人材育成の新しい道筋を、学校教育と連動して作り上げる必要があると主張。「若い人材が少ない。今は中学生・高校生などから介護支援専門員が見えない。未来ある若者が、介護支援専門員を直接目指せるようにする議論を進めたい」と語った。