日本看護協会は今年度も看護職員の処遇改善に力を入れていく構えだ。6月28日に開催した記者会見で、引き続き政府への働きかけを積極的に行っていく方針を明らかにした。【Joint編集部】
政府は今年2月から、介護職員と同様に看護職員のベースアップを図る施策を講じている。ただその対象を、救急搬送の受け入れなどコロナ禍で一定の役割を担った医療機関に限定。診療所や訪問看護ステーション、介護施設などで働く人は含めず、看護職員全体のおよそ3分の1にとどめた。
看護協会はこれを不服としつつも、施策の方向性を評価して「全ての看護職員の処遇改善に向けた第1歩」と位置付けている。
福井トシ子会長は記者会見で、「看護職員の果たす役割とその確保の重要性は、いま社会にかつてない実感をもたらしている」と指摘。「コロナ禍で重要な役割を担った訪問看護職員をはじめ、地域の様々な場面で活躍する全ての看護職員に対し、その職責に相応しい十分な処遇の保障が必要」と強調した。
看護協会はあわせて、更なる処遇改善に向けた追加的な施策の必要性も訴えていく方針だ。
担当する森内みね子常任理事は会見で、「看護は激務で責任も重い。厳しい職務内容に収入が見合っていないこと、キャリアを積み重ねても収入が増えていかないことが、看護職員不足の大きな要因」と問題を提起。「キャリアアップに伴う賃上げが必要。より抜本的な処遇改善の実現を求めていく」との意向を示した。
厚生労働省の2020年の「賃金構造基本統計調査」によると、看護職員の賃金は、夜勤手当の影響もあって20歳代まで一般労働者より高い。ただ、30歳代に入るとこれが逆転。一般労働者との格差は、40歳〜44歳で月7.4万円、45歳〜49歳で月9.8万円へ拡大する。