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2025年1月17日

【伊藤亜記】介護職に現場を任せる責任と大切さ 人・組織を育てることは自分を育てること

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《 株式会社ねこの手:伊藤亜記代表取締役 》

「なるべく何でも現場職員に任せるようにしていますが、苦情やトラブルが多く悩んでいます」。そんなご相談を介護施設の管理者の方からいただきました。【伊藤亜記】

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「任せる」と「放任」は違います。皆さんはどちらでしょうか?


「任せる」ためには、指示書やマニュアル、手順書の作成などの事前準備を行い、必要なフォローアップ体制を整えることが重要です。業務の目的や内容をきちんと理解できるように教育し、何かあった際に対応できるようモニタリングを行うことも欠かせません。


このようなバックアップ体制を整えたうえで任せないと、ただの「放置」「責任回避」「業務怠慢」と言われかねません。


「任せる」は人材育成に必要なことで、勇気が要り責任が伴います。その結果、「苦情が多い」という状況が生じてしまっているのであれば、体制が正常に機能していない懸念があると言わざるを得ません。苦情というシグナルが出ているわけですから、ここで改めて任せていた業務内容を見直し、指導しなおし、体制を立て直す動きをされてはどうでしょうか。

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◆ 法令遵守・情報収集の重要さ


介護事業は“規制ビジネス”です。遵守すべき法令はまず介護保険法です。これを知らない職員、十分に理解していない職員に現場を安易に任せることは、交通規則を知らずに車を運転するのと同じくらい危険なことです。


例えば高齢者虐待。従来の経過措置が終わり、今年度から原則として全てのサービスに防止措置の実施(委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の配置など)が義務付けられました。各サービスの報酬・基準などは3年ごとに改正されますので、常に最新情報の収集・対応が求められます。


このほか、「老人福祉法」や「個人情報保護法」、サービスによっては「道路交通法」などの理解も必要です。プロの介護職として仕事をする以上、自覚を持って最低限の知識や情報は備えておくべきです。


もちろん、必要な知識を全て備えることは簡単ではありません。定期的に勉強会を開き、法令の読み合わせを行うとよいでしょう。皆で重要な法令・規則を声に出して読み上げ、何を遵守すべきなのかを正しく理解する機会を設けることが大切です。個人で勝手に判断する、「他の人もやっているからいい」などを廃し、介護職としてやっていいこと、やってはいけないことの認識の統一から始めてみて下さい。


信頼して任せられる人材や組織を作り、育てることは一朝一夕には実現できません。長い時間がかかるもので、一進一退の長期戦となります。


人や組織を育てることは、自分を育てることにつながります。人としての“自分磨き”も怠ることなく、仲間と一緒に成長する気持ちで取り組んで下さい。


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