厚生労働省は4日、介護保険最新情報のVol.1087を発出した。介護職員の実践的なスキルの向上を促す「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」の活用を、全国の自治体へ改めて呼びかける内容だ。【鈴木啓純】
介護キャリア段位制度は、介護職員の資質の向上を図る人材育成プログラムの1つ。アセッサー(評価者)が標準化された基準のもとで、個々の介護職員の実践的なスキルを評価する。それを効果的なOJTなどにつなげていく仕組みだ。
厚労省はシルバーサービス振興会とともに実施した昨年度の老健事業で、全国の都道府県や事業者を対象に調査(*)を実施。介護キャリア段位制度の普及の進捗状況などを探った。
* この調査は今年1月から3月にかけて行われたもの。47都道府県が対象。事業者については、全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会、民間介護事業推進委員会の3団体に協力を依頼し、995事業所から回答を得たという。
それによると、都道府県のうち「制度をあまり知らなかった」が29.8%、「今後も施策として反映する予定はない」が42.6%。これを併せると72.4%を占めていた。
「施策として反映する予定はない」とした理由では、「他の施策で支援している」「事業所からの具体的な要望・ニーズがない」「既存の資格との関係性や明確な位置付けが必要」などがあがっていた。
一方の事業所調査の結果をみると、全体の80.6%が介護キャリア段位制度を「知っている」と答えていた。ただし、「知っているがレベル認定者やアセッサーはいない」が53.9%、「知らない」が19.5%。これを併せると73.4%にのぼっていた。
厚労省は今回の通知で、全国の自治体に制度の活用や事業所への周知を改めて要請。認知症の人の支援や看取りの充実、医療と介護の連携、自立支援・重度化防止の推進など、現場の”課題対応力”の強化にこの制度を引き続き活かしていきたい考えも示した。