センサーやICT、AIなどの新たなテクノロジーは、介護現場の生産性向上にどれだけ寄与するのか − 。厚生労働省は今年度、それを確認するための実証事業を行う。【Joint編集部】
5日の社会保障審議会・介護給付費分科会(持ち回り開催)でその概要を公表。これから年末にかけて実証を本格的に進めていくことを確認した。今年度内にも取りまとめる結果は、2024年度の介護報酬改定をめぐる議論のエビデンスとして活かす。
注目されるポイントの1つは、見守り機器やインカムなどを導入した介護施設の夜間業務にフォーカスする実証の行方だ。見守りなどの負担軽減が明らかになれば、人員配置基準の更なる緩和に向けた具体的な検討が進むことになる。
厚労省は前回の2021年度改定で、見守り機器やインカム、ICTを適切に運用している従来型の特養などを対象として、夜間の人員配置基準の緩和(例:常勤換算0.8掛け)を断行した。今回は対象施設の類型を広げるか否か、より思い切った緩和に踏み切るか否かが焦点となる。
取材に応じた担当者は、「まだもう少し(施設類型などを)広げる余地があるのではないか、と想定される」と説明。「職員の負担軽減、業務の効率化に加え、サービスの質を確保する観点からもしっかりとした実証に取り組む。決して人員配置基準を緩和するためだけの実証ではない」と強調した。
実証は従来型の特養、それ以外の特養、老健、ショートステイなどで行う。見守り機器やインカムなどを導入した効果・影響を、およそ40施設で詳しく調べていく。例えば業務内容、働く環境、休憩時間、心理的負荷、ケアの質、利用者の状態などがどう変わったかを把握する。
厚労省はこのほか、介護ロボットや介護助手の活用についての実証もそれぞれ行う計画だ。