SOMPO、保険外サービスに本腰 経営計画の柱の1つに 鷲見社長「介護報酬だけでは…」
業界最大手のSOMPOケアの中期経営計画が分かった。今年度から2026年度までの3年間を見据えたもので、鷲見隆充代表取締役社長 CEOがインタビューに応じて明らかにした。【Joint編集部】
介護事業の柱の1つとして、介護保険の給付がない保険外サービスの強化を新たに位置付けた。「プライベートサービス」と呼んで展開し、主に在宅で生活を続ける高齢者の多様なニーズに応えていく方針だ。収益の拡大や介護職員の処遇改善などにつなげる狙いがある。
SOMPOケアの鷲見社長は、「介護報酬は増えていかない。現役世代の保険料負担なども考慮するとなかなか難しく、介護職員の処遇改善も進まない。保険外のプライベートサービスにこれまで以上にチャレンジしていく」と表明。「収益だけをみた話ではない。保険外サービスがなければ、在宅ではおそらく高齢者の生活を十分に守れなくなる。介護保険サービスとの組み合わせでより立体的に支えていきたい」と語った。
例えば、在宅で訪問介護や通所介護などを提供している高齢者に対して、必要な生活支援サービス、外出支援サービスを提供していくことが念頭にある。特定施設の職員も保険外サービスに関わるなど、個々の事業所・施設の垣根を超えた地域ごとの横断的な体制を構想している。鷲見社長は、「フルラインナップのサービスがある強みを活かす」と述べた。
もっとも、保険外サービスの展開には大きな障壁がある。全国で深刻度が増している人材不足だ。
鷲見社長は、「介護業界の最大の課題は人。働く人が絶対に足りなくなる。保険外サービスを提供する余裕はなくなる可能性もある」と説明。「だからこそ、人材不足に打ち勝つ介護モデルの変革が必要。テクノロジーやデータの活用、業務オペレーションの最適化などで、サービスの品質を保ちながら生産性を高める努力を更に重ねたい」との意向を示した。