【伊藤亜記】人材確保のカギを握る職員育成 ティーチングとコーチングを使い分けよう!
連日の酷暑が列島を襲っていますが、この夏は介護職員の皆様にとっても厳しいものとなっています。【伊藤亜記】
強烈な暑さで体調を崩す方がおられます。新型コロナウイルスや手足口病なども流行しています。お子さんが夏休みに入り、生活の大変さは更に増しました。皆様には無理をせず、ぜひ心身の健康に気をつけて頂きたいと思います。
こうした状況を背景として、介護事業者の皆様も一段と厳しくなっているのではないでしょうか。
これはやむを得ないことですが、急にお休みを取る職員が増えています。賞与のタイミングで退職する方も一定数おられます。人材が足りない、採用が間に合わないという声が、事業所・施設を運営する方々からより多く聞かれるようになりました。
新人を採用した際に極めて重要なのが適切な育成です。新人をうまく育成できる職員がいないなど、介護事業者の皆様から関連するご相談が多く寄せられています。
私は研修を行う際に、「ティーチング」と「コーチング」のお話をさせて頂いています。ここでは、そもそもティーチング、コーチングとはどんなものなのかを改めてご紹介します。ポイントを私なりに、分かりやすく以下のように整理してみました。
ティーチング=指示・命令や助言によって相手に答えを与えること。
例:研修レポートを◯月◯日◯時までに、この用紙の記載項目に沿ってまとめ、管理者へ提出して下さい。
コーチング=相手から答えを引き出し、自己決定や自己解決を促すこと。
例:◯月◯日に「虐待防止と身体拘束禁止の研修」を開催したいのですが、どのような内容の資料にすれば分かりやすいと思いますか?
それでは、ティーチングとコーチングはどう使い分ければ良いのでしょうか。私は研修などで次のように説明しています。
1.「やったことがない」「自信がない」「全く自己解決できない」「どうすればいいか教えて欲しい」という依存型の職員には、「~しましょう」「~して下さい」というティーチング(指示)が必要。
2.「やったことはある」「でもまだ自信がない」「少しは自己解決できる」「自分のやり方が適切か否かアドバイスが欲しい」という半依存型の職員には、もう少しその職員の主体性を尊重して、「~してはどうですか?」「~という方法もありますよ」というティーチング(助言)が望ましい。
3.「何度かやったことがある」「そこそこ自信がある」「おおよそ自己解決できる」「自分のやり方を認めて応援して欲しい」という半自立型の職員には、本人の主体性を更に尊重しつつ、「どうすれば良いと思いますか?」「どうしたいのですか?」などと質問して答えを引き出し、それを「そうしましょう」と支持するコーチングが効果的。
4.「いつもやっている」「自信がある」「完全に自己解決できる」「任せて欲しい」という自立型の職員は、口出しをせずに見守るだけで良い。
職員が「自分で考え」「自分で気づき得る」と意識が変わります。そうすれば行動が変わり、成果が変わり、継続して成果が上がるという好循環の習慣化、定着化が見えてきます。
ポイントは「褒める」「認める」「必要とする」「人間性を愛す」。介護事業者の皆様もぜひ、この「働く4大欲求」を踏まえたマネジメントを心がけてみて下さい。