厚生労働省が導入を検討している介護福祉士の国家試験の「パート合格」をめぐり、業界関係者の賛否が分かれている。【Joint編集部】
必要な人材の確保につながると支持する声がある一方で、介護福祉士の社会的評価の低下を招きかねないといった慎重論も出ている。
介護福祉士国試の「パート合格」は、複数科目ごとに合否を判定する新たな仕組み。資格取得に至らなかった受験者は、2回目から合格できていないパートの学習のみに専念すればよくなる。今より挑戦しやすくなる点が大きなメリットだ。
厚生労働省は来年度からの導入を提案。今月12日に開催した検討会では、業界関係者を招いて意見を聞いた。
この中で、全国老人福祉施設協議会は、「働きながら資格を目指す人、中でも在留資格『介護』の取得を目指す外国人にとって福音であり、歓迎すべきこと」と賛意を表明。全国老人保健施設協会も、「資格取得の機会を増やすことは賛成。働きながら資格を目指すモチベーションが高くなると期待できる」との認識を示した。
一方で日本介護福祉士会は、資格取得を目指しやすい環境を整えていく方向性には理解を示しつつ、「導入による影響を十分に検討すべき」と指摘。「簡単に取得できる資格」といった印象を強め、介護福祉士に対する信頼を揺るがしたり、社会的評価を低下させたりする懸念があると問題を提起した。
そのうえで、「本気で介護福祉士を目指す人材を増やそうとするのであれば、資格取得にインセンティブを持たせる必要がある」と提言。「介護福祉士を真に目指す価値のある資格とすることこそが、人材の新規参入促進への近道となる。懸念が払拭されないままの『パート合格』の導入には賛成できない」と主張した。
このほか、全国福祉高等学校長会も、「介護福祉士の社会的価値が低下することのないよう十分な措置を」と求めた。