【足立圭司】介護現場の生産性向上は加速するか!? 全国でワンストップ窓口がいよいよ始動
今月4日、大阪府住之江区にあるATCエイジレスセンター内で「大阪府介護生産性向上支援センター」の開設式が開かれました。【足立圭司】
開設式には行政や各介護事業者団体の代表者をはじめ、大阪府の介護現場を支援する関係者が参加し、センターに大きな期待を寄せました。また、開設式の前には吉村府知事も視察に訪れ、介護職員の負担を軽減すること、事業所の生産性を高めることが重要と語りました。
このセンターでは、介護ロボットやICTの導入をはじめとした介護現場の生産性向上、業務効率化に関する相談を受け付けるほか、体験型の展示場を整備しており、介護ロボットなどに実際に触れて操作性などを確認することができます。また、導入にかかる補助金についてもご案内します。
くわえて、介護ロボットなどを購入する前の一定期間に貸与する試用貸し出しサービスも行います。厚生労働省はこのようなワンストップ窓口の設置を急いでおり、来年度末までに全ての都道府県に設置することを目指しています。
そこで今回は、このワンストップ窓口が真に地域の介護現場から頼りにされ、介護分野全体の生産性向上に貢献するためのポイントについて考えたいと思います。
第一に、ワンストップ窓口で介護現場から寄せられる相談に対応し、取り組みを支援する人材の育成です。
介護分野の生産性向上の取り組みは、2019年に厚生労働省が作成した「生産性向上ガイドライン」で標準的な手順が紹介されていますが、まだまだ発展途上の段階にあると考えられます。したがって今後、介護現場で実際の取り組みを率先垂範する人材を育成するとともに、この取り組みを外部から伴走的に支援できる人材の確保・育成が急務です。
また、多岐にわたる相談内容に対応するため、地域でのネットワーク構築も重要です。例えば、よろず支援拠点やハローワーク、介護労働安定センターなど幅広い関係機関との密な連携体制は、ワンストップ窓口の総合的な相談対応力を向上させます。
次に、地域の介護現場に対するワンストップ窓口自体の周知です。都道府県などの行政機関はもとより、地域の介護事業者団体や職能団体の協力を得ながら、ワンストップ窓口の存在や取り組みを広く周知する必要があります。ワンストップ窓口の設置と並行して都道府県ごとに設置される介護現場革新会議も、周知活動の重要な役割を担うと考えられます。
最後に、ワンストップ窓口から得られた現場の情報を取りまとめる仕組みです。今後、ワンストップ窓口には介護現場の様々な課題やニーズが持ち込まれるようになるため、これらの情報を集約し、製品の開発や次の政策に活用する仕組みが必要だろうと考えています。
いよいよ本格的に始まった各地域の生産性向上に向けた取り組み。その中核を担うワンストップ窓口の活躍に注目していきたいと思います。