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2024年5月8日

【まとめ】オンラインモニタリングの注意点 居宅介護支援のケアマネが守るべき大切なこと

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《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》

新年度の居宅介護支援の介護報酬改定では、新たにオンラインモニタリングが制度化されました。


運営基準、解釈通知、Q&Aなどのボリュームも多いため、全体像をうまく理解するのはなかなか難しいのではないでしょうか。実際に運用するにはどうすればいいのか、といった声も少なからず聞かれております。【田中紘太】

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今回はこのオンラインモニタリングについて、既に発出された通知などをもとに運用の注意点をまとめていきます。また、国が昨年度の調査・研究事業で「ポイント集」を作成・公表していますので、そちらもぜひ参考にして頂ければ幸いです。


◆ ご利用者様の状態、どう判断?


オンラインモニタリングを実施する前提の1つに、「利用者の心身の状況が安定していること」があります。解釈通知ではこの「安定」について、次のように記載されています。

心身の状況の安定を確認するにあたっては、主治医らによる医学的な観点からの意見や以下に例示する事項なども踏まえ、サービス担当者会議などで総合的に判断することが必要。


◯ 介護者の状況に変化が無いこと。


◯ 住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレ改修などを含む)。


◯ サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いこと。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

上記には、「主治医らによる医学的な観点からの意見も踏まえ」とありますが、具体的にどんな方法でそれを確認するのでしょうか。解釈通知には次のような記載もあります。

主治医、担当者、その他の関係者と合意を得る方法としては、サービス担当者会議のほか、利用者の通院や訪問診療への立会時における主治医への意見照会、サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会も想定される。いずれの場合も、合意に至るまでの過程を記録しておくことが必要。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

また、国の「ポイント集」にも一文記載があります。

主治医やサービス事業所との合意:支援経過記録やサービス担当者会議の要点などに同意が得られたことを記載する。

これらを踏まえると、通院時や訪問診療時に医師から口頭で意見照会を行うこと、サービス担当者との日頃の連絡調整の際に口頭で意見照会を行うことが考えられ、必ずしも文書による意見照会までは求められていないようです。ただし、伺った意見を支援経過記録、サービス担当者会議の要点などに記載することが必要となるでしょう。

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◆ 同意を得る方法は?


また、国の解釈通知には次のような記載もあります。

文書により利用者の同意を得る必要がある。その際は利用者に、オンラインモニタリングのメリット・デメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であることなど)を懇切丁寧に説明することが重要である。なお、認知機能が低下しているなど同意を得ることが困難と考えられる利用者は、オンラインモニタリングの対象者として想定されない。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

利用者の同意を得ることは当然です。それも口頭ではなく、文書で得る必要があります。同意書の雛形は国の「ポイント集」の4Pにありますので、それを参考に活かすことができそうです。


既存のご利用者様には同意書を説明し、署名を得る必要があるでしょう。新規のご利用者様については、Q&Aに次のように記載されました。

問111|文書により利用者の同意を得る必要があるが、重要事項説明書にチェック欄を設けるなどの対応でも差し支えないか。


答|利用者や家族に対し、オンラインモニタリングのメリット・デメリットを含めて十分に説明したうえで、チェック欄にチェックを入れることにより同意を得ることは差し支えない。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。


上記を踏まえると、国の「ポイント集」にある同意書の雛形を参考にして重要事項説明書を変更し、チェック欄を設ける形がよろしいかと思います。

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◆ ヘルパーさんの協力の範囲


次に解釈通知の以下の記載を取り上げます。

オンラインモニタリングを行うにあたっては、利用者がテレビ電話装置などを介して、利用者の居宅で対面で行う場合と同程度の応対ができる必要がある。なお、テレビ電話装置等の操作については、必ずしも利用者自身で行う必要はなく、家族など介助者が操作を行うことも差し支えない。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

またQ&Aには、ホームヘルパーの関与についても記載されています。

問106|オンラインモニタリングについて、訪問介護員が訪問している間にテレビ電話装置等の準備をすることは可能か。


答|訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、例えばICT機器のOn/Offの協力などを行うことは差し支えないが、具体的な実施方法や連携方法などは、予め事業所間で調整すること。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

独居の方などでご家族様のサポートが受けられない場合、ヘルパーさんに一定の協力を得ることもできそうです。ただし、ヘルパーさんが介護保険で介入している際に、サービスを中断して常時オンラインモニタリングに付き添うことは想定されていません。あくまでも、ICT機器のOn/Off程度の範囲にとどめる必要があるでしょう。

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◆ オンラインだけで知り得ないこと


また、解釈通知には次のような記載もあります。

オンラインモニタリングを行う場合、画面越しでは確認できない利用者の健康状態や住環境などの情報について、サービス事業所の担当者からの情報提供で補完する必要がある。この点について、サービス事業所の担当者の同意を得るとともに、サービス事業所の担当者の過度な負担とならないよう、情報収集を依頼する項目や情報量について留意が必要である。なお、サービス事業所の担当者に情報収集を依頼するにあたっては、別途通知する「情報連携シート」を参考にされたい。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

画面越しで確認できないポイントは沢山あります。例えば、ご自宅周辺の道路工事の状況、近隣の商店の休業、インターフォンを押してから玄関に来るまでの時間、ドアを開けてから感じる温度、匂い、室内の汚れ、歩行動線、部屋の明るさ、家族の表情、介護疲れ、不審な痣の有無、足を引きずっていないかなど。対面のモニタリングでは当たり前のように五感で得られる情報が、画面越しでは十分に把握できません。こうした点をケアマネジャーに代わり、介護サービス事業者の方々に確認してきてもらう必要があります。


ただ単に「様子を報告して欲しい」という漠然とした連携では、介護サービス事業者の方も何を報告してよいか分かりません。そこで、国の「情報連携シート」を活用することになります。


これは、普段の実績報告などの際に用いられる事業者ごとの報告書ではバラツキが出てしまうため、参考様式として整備されたものです。Q&Aには次のような記載があります。

問108|情報連携シートの項目は全て記載する必要があるか。


答|オンラインモニタリングのみで収集できない情報について、居宅サービス事業者などに情報収集を依頼する項目のみを記載すればよい。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

情報連携シートの項目は多岐に渡るため、その全ての入力・報告を求めればサービス事業者様にとって過度な負担となります。そのため、必要な項目に絞る必要があるでしょう。国の「ポイント集」にも記載例がありますので、是非そちらも参考にして頂ければ幸いです。


あわせて、Q&Aには次のような記載もあります。

問109|サービス事業所に情報収集を依頼するにあたり、情報連携シートではなく、民間の介護ソフト・アプリの記録機能を活用する方法は認められるか。


答|情報連携シートは様式例であるため、必ずしもこの様式に限定されないが、介護ソフト・アプリの記録機能を活用する場合であっても、情報連携シートの項目と照らし、事業者間の連携に必要な情報が得られるかを確認すること。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

情報連携シートを必ず使う必要はない、との記載がありますが、これには一定のリスクが伴うでしょう。事業所ごとの報告書のフォーマットだけを使う場合、本来であれば必要な情報の記載がなく、それが運営指導やケアプラン点検などの際に認められなかった場合は、運営基準減算になってしまうかもしれません。そこは十分に注意が必要です。


恐らく今後、介護ソフトのベンダーが情報連携シートを報告書の標準様式として取り込むか、それに準じたフォーマットを整備していくと想定されます。毎月の報告書が情報連携シートに置き換わっていくことも予想されますので、介護ソフト・アプリを使うのはその後でも良いでしょう。


また、連携をとる事業者のサービス類型によっても、情報連携シートに記載して頂く内容が変わってくると思います。訪問系と通所系では把握できるご利用者様の情報が大きく異なるため、該当するサービス事業所へ適切に情報収集を依頼する必要があるでしょう。

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◆ サ高住のご利用者様は?


集合住宅などで暮らすご利用者様の取り扱いはどうでしょうか。国の「ポイント集」には次のような記載があります。

利用者が居宅介護支援事業所と併設・隣接しているサービス付き高齢者向け住宅に入居している場合や、複数の利用者が同一の建物に入居している場合などは、訪問した方がより質の高いモニタリングを行うことができる場合があります。オンラインモニタリングを実施する場合には、保険者ともよく相談しましょう。

サ高住の入居者様などの場合は、事前に保険者とよく相談しておく対応が望ましいでしょう。この点もよく確認しておく必要がありそうです。


◆ 機材トラブルの場合は?


最後に「特段の事情」を取り上げます。Q&Aには次のような記載があります。

問110|利用者に特段の事情がある場合は1月に1回のモニタリングを行わなくてもよいが、利用者が使用するテレビ電話装置などのトラブルでモニタリングを実施できなかった場合は、特段の事情に該当するか。


答|該当しない。この場合は、利用者の居宅への訪問によるモニタリングに切り替えること。


※ 読みやすさの観点からJoint編集部が一部要約。

これは当然かと思われますが、月末ギリギリにオンラインモニタリングを予定していて通信トラブルがあった場合なども、速やかに対面のモニタリングに切り替えなければいけません。万が一モニタリングができなくなれば運営基準減算となりますので、十分にご注意下さい。


以上、重要なポイントに絞ってまとめたつもりですが、それでもかなり細かい説明となってしまいました。居宅介護支援の関係者の皆様には、こうしたルールをひとつひとつ確認したうえで、適切にオンラインモニタリングを活用して頂ければ幸いです。


また、オンラインモニタリングを実施する際も、ご利用者様の医療・介護情報、個人情報の適切な取り扱いが求められることを、あわせて指摘させて頂きます。


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