東京都社会福祉協議会の「高齢者福祉施設協議会」が公式サイトで、「都内特別養護老人ホーム人員配置調査」の結果を公表した。【北村俊輔】
それによると、センサーやICTなどのフル活用とあわせて介護施設の人員配置基準を現行の3対1から緩和していく構想について、都内の特養の68%が「反対」と答えていた。
その理由では、「介護人材不足を配置人員の削減で補うことには限界がある(64%)」「利用者の安全確保が困難になる(64%)」「福祉サービスの低下につながる(58%)」などが多かった。
この調査は、今年3月から4月にかけてWebで行われたもの。都高齢者福祉施設協議会の会員特養371施設から有効な回答を得ている。対象施設の介護・看護職員の平均常勤換算数は2.01。現行の人員配置基準よりも手厚い体制となっている。
ICTなどを活用した場合、常勤換算数3対1でも今のような対応が可能か?
この問いに対する答えでは、92%が「不可能」を選択。その理由をみると、「職員の負担軽減や業務省力はできても人の代わりにはならない(85%)」「職員1人にかかる負担が増大する(70%)」「急変または救急搬送の場合、付き添い対応ができない(69%)」などが目立っていた。
政府は今年度、ICTなどの活用に伴って介護施設の人員配置基準を緩和できるかどうか、現場で実証を行う方針。この結果を踏まえ、2024年度の介護報酬改定に向けて具体的な検討を進める計画だ。
都高齢者福祉施設協議会は今回の調査結果のレポートで、「入所者の生活の安全を維持できなくなる環境を国が本当に認めるのか。基準緩和を推進するのではなく、入所者の安全・安心を守れる環境作りを踏まえ、人材不足対策や生産性向上を検討して頂くことを望みたい」とまとめている。