一定以上の所得がある後期高齢者の医療費の自己負担が1日、1割から2割へ引き上げられた。【Joint編集部】
対象者は全国の75歳以上のおよそ20%、約370万人と少なくない。当事者からみると、これまでの2倍の金額を病院で請求されていくことになるため、生活への影響は大きそうだ。厚生労働省は“受診控え”などを防ぐため、時限的な「配慮措置」もあわせて講じている。
昨日の9月30日まで、75歳以上の医療費の自己負担は1割or3割だった。3割は現役並みに所得がある一部の人だけ。それが今月から、次のように2割の区分が新設される。
負担増の対象となるかどうかは、個々の課税所得や年金収入などから世帯単位で判断される。具体的には、次の要件に該当する75歳以上の医療費の自己負担が2割へ引き上げられた。現役並みに所得がある人は変わらず3割のまま。
* 75歳以上の医療費2割負担の対象者
課税所得が28万円以上で、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身世帯なら200万円以上、複数世帯なら計320万円以上
注)年金収入に遺族年金・障害年金は含まれない。「その他の合計所得金額」とは、給与収入や事業収入から必要経費、給与所得控除などを差し引いた後の金額を指す。
厚労省があわせて導入する「配慮措置」は、対象となる75歳以上の自己負担の急増を回避する目的で用意されたもの。1割負担と比べた場合の外来の増額分を、最大で1ヵ月3000円までに抑える内容だ。期間は2025年9月30日までの3年間とされた。
75歳以上の負担増の背景には、やはり止まらない医療費の膨張がある。高齢化や人口減少は今後さらに加速し、現役世代の保険料なども一段と高くなっていく見通しだ。厚労省は今回の見直しを、「現役世代の負担を抑えて国民皆保険を未来へとつないでいくため」と説明し、広く理解と協力を呼びかけている。