介護報酬改定の大枠決まる 審議会が報告書 厚労省、現場の生産性向上に力点
来年度の介護報酬改定は大枠の方向性が決まった。国の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)が18日、これまで重ねてきた議論を総括する「審議報告」を取りまとめた。【Joint編集部】
業界の内外から喫緊の課題と指摘されている介護現場の生産性向上が大きな柱。これと介護職員の処遇改善をかけ合わせ、介護ニーズが更に拡大する今後も耐えうる体制の整備を目指す構想が描かれた。
厚生労働省は「審議報告」に、介護現場の生産性向上の実現に向けたメニューを多く盛り込んだ。現役世代の減少で人材確保が更に難しくなっていくことも念頭に、これを国策として推進する姿勢を改めて鮮明に打ち出した。
例えば特養や老健、介護付きホーム、グループホームなどに対し、テクノロジーの導入やそれに合わせた業務フローの見直し、介護助手の活用、適切な役割分担といった具体策を検討する委員会の設置を義務付ける(*)。より先進的な取り組みを実践している介護付きホームには、一定の要件のもとで人員配置基準を緩和することも認めていく。
* 委員会の開催の義務化には、3年間の経過措置が設けられる。
また、全てのサービスで管理者が兼務できる施設・事業所の範囲を拡大する。居宅介護支援のケアマネジメントでは、1人のケアマネジャーが担当できるケースの数を増やすとともに、一定の要件のもとでオンラインモニタリングを解禁する。
介護職員の処遇改善については、既存の3加算を一本化して算定しやすくする考えが示された。政府は介護報酬を全体として引き上げる方針で、各サービスの基本報酬の単位数、処遇改善加算の加算率なども大きな焦点となる。
このほか、厚労省は「審議報告」に、医療と介護の連携強化や認知症の対応力向上、機能訓練・口腔・栄養の一体的な推進、LIFEの有効活用、評価の適正化・重点化などを進めると明記した。最終章の「今後の課題」には、訪問介護のホームヘルパーの確保、ケアマネジャーの確保、在宅でのテクノロジーを活用した利用者の状態把握の検証、制度の持続可能性に配慮した給付費の適正化など、非常に重要なテーマを多く書き込んだ。
今後、各サービスの基本報酬や加算の新たな単位数は年明けに公表される。改定の細部を明らかにする通知などは、今年度内に発出される見通しだ。