テクノロジー活用で介護施設の人員配置基準を緩和 厚労省「必要な取り組み。挑戦する企業の芽を育てていく」
厚生労働省は来年度の介護報酬改定で、テクノロジーのフル活用など生産性向上の先進的な取り組みを進めている介護付きホーム(特定施設)に限り、現行の「3対1」の人員配置基準を緩和することを特例的に認める。【Joint編集部】
介護現場の関係者から、「サービスの質の低下を招く」「職員の負担が更に重くなる」といった強い反対意見が出ているが、こうした懸念に対応する多くの要件を設けつつ一定の緩和に踏み切る。
11日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、介護保険制度を所管する老健局の担当者が趣旨を改めて説明した。
高齢者の急増と現役世代の急減で人材確保がますます難しくなっていくこと、テクノロジーの進歩が早く今後更に発展していくとみられることなどを念頭に、次のように理解を求めた。
《 厚労省担当者の説明 》
現在の介護現場が置かれている状況、将来予測される社会情勢の変化を考えれば、課題に挑戦する企業の努力の芽を育てていくべきと考えています。全ての施設ですぐに成果を出すことが難しいことを踏まえると、一定のスピード感も必要と考えています。
一部の企業、一部の施設であっても、サービスの質を落とさずに効率化を図り、多くの介護需要に対応しようとする取り組みを評価することは、将来の介護サービスの安定的な確保に責任を負う立場から、必要な取り組みだと考えています。
その一方で、これまでにない取り組みのため慎重に判断すべきという意見も、大変ごもっともだと考えています。国としても、人員配置基準を特例的に柔軟化する施設のデータを確認したり、実地で状況を把握したりするなど、今後しっかりと取り組みの検証を行っていきます。
厚労省は近く大枠の方針を決定する。一部の先進的な介護付きホームの取り組みを後押ししつつ、利用者にとっても介護職にとっても安心・安全なルール作りを進めることが課題となる。