【介護報酬改定】一本化した処遇改善加算、要件に生産性向上 複数の取り組み必須に 厚労省案 経過措置も
厚生労働省は30日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、介護職員の処遇改善に関する3加算(*)の一本化を取り上げた。【Joint編集部】
* 処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ加算を指す。
一本化後の新たな加算「介護職員等処遇改善加算」に、4段階の区分を設けると説明。既存の3加算の要件を組み合わせ、
◯ 資格や経験に応じて昇給する仕組みの整備
◯ 職場環境の改善や現場の生産性向上(職場環境等要件)
◯ 経験・技能のある職員の充実
などに応じて加算率に差をつけるとした。
このうち、生産性向上の要件を増やすこと、強化することが1つの特徴といえる。厚労省は4段階の全区分について、介護ソフトやスマートデバイス、インカムの活用、介護ロボットの導入、介護助手の配置、5S活動の実践、記録・報告の工夫、事務部門の集約などのうち、複数に取り組むことを必須とする(*)案を示した。
* 小規模事業者向けの例外措置も導入される。
加えて、4段階の上位2区分を算定する要件として、
◯ 国の「生産性向上ガイドライン」に基づき、委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用などの体制整備を行っている
◯ 課題の抽出、構造化、業務時間の調査など、“課題の見える化”を行っている
などを必須とすることも提案した。
介護職員の処遇改善に関する加算の要件で、現場が生産性向上を図る複数の取り組みをマストで求められるのは初めて。厚労省は1年間の猶予期間を設け、2025年度から適用する意向を示した。サービスの質の向上、介護職員の負担軽減、より効率的な体制の整備などを強く促す狙いがある。
ただ、審議会では委員から「現場の負担が過大になりかねない」「生産性向上に寄りすぎてバランスが悪い」といった慎重論も出た。厚労省は今後、こうした意見も踏まえつつ細部を詰める検討を進める構えだ。