【介護報酬改定】介護付きホーム、夜間看護体制加算を見直し 夜勤宿直を評価 医療ニーズに対応 厚労省
有料老人ホームなどの「特定施設入居者生活介護(介護付きホーム)」でも利用者の医療ニーズが高まっていることを踏まえ、厚生労働省は来年度の介護報酬改定に向けて現場を後押しする方策を検討していく。【Joint編集部】
16日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で論点の1つとして打ち出した。
夜間の看護体制を評価する加算(夜間看護体制加算)の細分化を提案。現行は1区分のみだが、「夜勤・宿直の看護職員を配置している場合」と「オンコールで対応している場合」の点数に差をつけてはどうかとした。
このほか、医療的ケアを要する利用者への対応などを評価する「入居継続支援加算」の要件を緩和する案も示した。今後、細部を詰める検討を進めていく構えだ。
介護付きホームでは、要介護3以上の利用者が全体の46.0%を占めるに至っている。医療的ケアを要する利用者は既に全体の11.2%。基準上の医師の配置もないなか、今後を見据えた医療体制の強化が喫緊の課題となっている。
※ 要介護3以上の割合は昨年4月審査分。医療的ケアを要する利用者の割合は、昨年度の国の調査研究事業。
既存の「夜間看護体制加算」は、施設の看護職員の配置、または外部の医療機関や訪問看護ステーションと連携したオンコール対応などを評価するインセンティブ。施設ベースの算定率は、昨年4月審査分で69.2%と高い。
これを算定している施設をみると、外部機関と連携したオンコール対応を運用しているところが多数派だ。ただ厚労省は審議会で、夜勤・宿直の看護職員がいる施設の方が医療的ケアを要する利用者を多く受け入れている、と説明。こうした体制の整備を評価する観点から、「夜間看護体制加算」を2区分に分けたい考えを示した。
一方、現行でたんの吸引や経管栄養を要する利用者の割合などを要件としている「入居継続支援加算」については、その計算対象を拡大する案を提示。現場の医療ニーズの実態を踏まえ、新たに「膀胱留置カテーテル」「在宅酸素療法」「インスリン投与」も含める意向を示した。
会合では全国老人福祉施設協議会の古谷忠之参与が、「夜間看護体制加算」の細分化について、「上位区分を設けるのはいいが、オンコール対応の区分の単位数を下げると算定率が低下し、医療体制が逆に弱まる懸念がある。そこは配慮してほしい」と要請。日本看護協会の田母神裕美常任理事は、「オンコール体制の単位数を維持してほしい」と念を押した。