厚生労働省は16日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で特別養護老人ホームを取り上げた。【Joint編集部】
人工透析を要する入所者を医療機関へ連れて行く施設を新たに評価することを提案。家族や病院による十分なサポートが見込めず、特養の職員が月に一定回数以上の送迎・付き添いを担っているケースなどを対象とする案を示した。
現場の対応の難しさを考慮した施策。人工透析を要する入所者は通院が欠かせず、その送迎・付き添いには追加的なコスト、負担がかかる。施設に残る他の職員の負担も増してしまう。
このため、日常的な観察・送迎を要する透析患者をそもそも受け入れない施設も多い。厚労省の2021年度の調査結果では、実に7割以上の特養が入所を「断る」と答えたと報告されている。
厚労省はこうした課題の解消を図る。この日の審議会では、「頻回の通院介助・付き添いなどを評価する。人工透析を要する高齢者の受け入れ負担を軽減する」と説明した。今後、細部を詰める検討を進めていく構えだ。
会合では全国老人福祉施設協議会の古谷忠之参与が、「こうした評価は医療措置が必要な高齢者の受け入れに効果がある。他の疾患でも同様の施策を検討してほしい」と要請。全国市長会を代表する立場で参加した大阪府豊中市の担当者(市長に代わり参考人出席)は、「施設に入所を断られてしまうなど、透析患者は必要な介護サービスを十分に受けられていない。送迎の問題にとどまらず、透析患者の受け入れに伴う施設のかかり増し経費をトータルで評価してほしい」と求めた。