介護労働安定センターは21日、昨年度の「介護労働実態調査」の結果を公表した。【Joint編集部】
介護職員(*)の過不足の状況を施設・事業所に聞いたところ、「大いに不足」が11.9%、「不足」が24.2%、「やや不足」が33.2%。これらを合計した“不足感”は、69.3%にのぼった。
* ケアマネジャーや訪問介護のホームヘルパーらは除く。これらの職種についてはこちらの記事で。
“不足感”は3年ぶりに悪化。64.4%だった前年度から4.9ポイント上昇した。過去10年で2番目に高い水準となっている。
高齢化に伴う介護ニーズの拡大、事業者間の競争の激化などが背景にあるとみられる。政府は昨年度に介護職員の処遇改善を図る「ベースアップ加算」を新設するなど対策を打っているが、状況を好転させるまでの結果は出せていない。
介護職員の“不足感”はコロナ禍で低下傾向にあったが、状況は既に変わった。他産業は徐々にアフターコロナへ移行。賃上げも着実に進展しつつあるなか、介護現場の人手不足は今後さらに深刻化する懸念がある。
介護保険の今後を議論する厚生労働省の審議会でも、「貴重な人材が他産業へ流出している」との声が相次ぐ状況。現場の関係者らは、来年度の改定で各サービスの介護報酬を引き上げることなどを強く求めており、政府がこれにどう応えるかが注目されている。
この調査は、介護労働安定センターが全国1万8000の介護施設・事業所を対象として昨年10月に実施したもの。8708の介護施設・事業所の回答を集計している。