「上から言われて管理者になりましたが、何をしたらいいのか正直分かりません」
こんなご質問をコンサルタント先でもよく頂きます。介護施設・事業所の管理者は、小さな会社の社長と言ってもいい存在です。収益はもちろん、採用、人事、職員教育、経理、総務、営業、運営、業者対応、家族対応、リスクマネジメント、クレーム事故対応など、運営に関わる全ての業務を一元的に管理する責任を担っています。
注意深く意識すべきポイントは、介護施設・事業所の内外で多岐にわたります。例えば、
◯ 現場は滞りなく効率的に運営されているか
◯ お客様やご家族に満足のいくサービスが提供できているか
◯ 職員の人間関係はうまくいっているか
◯ リーダーシップを発揮して現場をまとめられているか
◯ 事故やトラブル対応が迅速に行われているか
◯ 請求業務がスケジュール通りに進行しているか
◯ ケアマネジャーとの関係構築ができているか
◯ 近隣や地域の方々とのコミュニケーションがとれているか
◯ 新規顧客獲得の為に集客活動ができているか
◯ 黒字運営が継続できているか
◯ シフト管理はきちんとできているか
◯ 施設内の美化・清掃は行き届いているか
などをしっかりと確認していかなければいけません。時間がいくらあっても足りないでしょうし、気持ちの余裕を作るのも最初は大変だと思います。
管理者の中には、職員への指示や注意ができない方もおられるようです。ただ、管理者の役割の中で職員の言動や勤怠の管理は一番大きな責任を負う仕事です。部下は上司を見て成長していきます。管理者であるあなたの関わりで職場の雰囲気は作られ、職員間のコミュニケーションも築かれていくのです。
管理者は職場環境づくりの面でも、リーダーシップとコミュケーション力を求められます。様々な責任と業務に加え、求められる能力も多く非常に大変だと思います。
ただ、このように、望む誰もが与えられるわけではない貴重なチャンスを、あなたは多くの職員の中から選ばれて手にしたわけですから、この機会を「成長のチャンス」と捉えてはいかがでしょうか。
与えられた状況や課題にどんな気持ちで取り組んでいくのか − 。ただ受け身でいるのか、それとも“何に対しても逃げずに積極的に関わっていく”のか − 。
こうしたマインドセット次第で、このポジションを受けた自分自身の成長、次のステージへ上がっていくスキル、自信を得られるのではないかと思います。
管理者は率先して「お疲れ様です」「いつも有難うございます」「頑張っていますね!」といった言葉を使って下さい。あわせて、「大丈夫ですか?」「不安はありませんか?」「小さなことでも言って下さいね」のように、職員へ歩み寄る言葉を多く使うことも大切になると思います。