SOMPOケアは10月1日から、およそ6億円を新たに投入して介護職員の賃上げを行う。【Joint編集部】
相対的にキャリアの浅い人材にリソースを重点的に振り向ける。いずれもベースアップで、国家資格などを持っていない介護職員の給与を年12万円引き上げるほか、介護福祉士とケアマネジャーもそれぞれ年6万円上げる。対象となるのは約7000人。
鷲見隆充代表取締役社長 COOがインタビューで明らかにした。人材の確保、離職の防止、サービスの質の向上などにつなげる狙いで、「もっと働きがいを感じられる会社にしたい」と述べた。人材確保が事業の成否を分ける重要な課題となるなか、積極的な投資で激化する競争をリードしたい考えだ。
SOMPOケアは2018年7月に今の社名となった後、2019年10月、2022年4月と2度にわたり独自の大規模な賃上げを実施してきた。これまでは施設長や管理者、ケアコンダクター(スキルの高い介護福祉士ら)など、現場を牽引するリーダー級の介護職員を優先させてきた経緯がある。
役職ごとの年収をみると、既に施設長・管理者で600万円から700万円ほど、ケアコンダクターで450万円ほどの水準を実現している。投じてきた原資は約34億円で、今回の6億円をあわせると総額はおよそ40億円にのぼる。
今年10月からの賃上げでは、国家資格などを持たない介護職員らの処遇の底上げを図る計画。SOMPOケアは現在、テクノロジーやデータのフル活用によるサービス提供フォーマットの転換、業務オペレーションの最適化・効率化などに注力しており、これに対応している現場のモチベーションを高める狙いもある。鷲見COOはインタビューで、生産性向上で生み出す価値を介護職員に還元することで更なる処遇改善を目指す意向を示した。
今年4月から正規の介護職員として採用した新入社員は276人。「みなけあ新座」や「ネクサスケア」を子会社化するなど、M&Aによる事業規模の拡大も引き続き推進している。
介護職員の資格取得、スキルアップを後押しする体制の強化なども図り、これから未来志向の「SOMPO流の介護」を更に展開していくという。鷲見COOはインタビューで、「人手不足は介護現場だけの課題ではない。できるだけ多くの介護ニーズに質の高いサービスで応えられるよう、介護職員の処遇改善とともに持続可能な新しい介護への変革を進めたい」と意欲をみせた。