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2023年7月12日

介護の利用者負担2割の拡大、議論膠着 所得上位20%→30%が焦点 物価高騰などで判断難航

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《 社保審・介護保険部会 10日 》

次の介護保険制度の改正をめぐり最大の焦点となっている高齢者の負担増 − 。厚生労働省は10日の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で、昨年末からペンディングとなっているこの議論を再開した。【Joint編集部】

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65歳以上の第1号保険料について、高所得者を上げて低所得者を下げる案を改めて提示。これからディテールを詰めていく意向を示した。


所得に応じて1割、2割、3割となっている利用者負担については、2割の対象者を拡大することの是非を論点とした。現行では高齢者の「所得上位20%」としているが、後期高齢者医療制度では「所得上位30%」とより広く設定されていることを紹介。これをどう考えるべきか、と委員に尋ねた。


ディスカッションの中では、高齢者の経済力に応じて相応の支払いを求めていく「応能負担」を色濃くしていく方向性を確認。現役世代の保険料の上昇をできるだけ抑えていく努力が不可欠、との認識も共有した。


ただし、その具体策をどうするかとなると議論が前へ進まない。


特に意見が分かれるのは利用者負担だ。対象者を「所得上位30%」まで広げるよう促す声がある一方で、真逆の慎重論も少なくない。例えば、「急激な物価高騰で高齢者の生活はより厳しくなった」「サービスの“利用控え”が生じて重度者が増えてしまう」「現役世代の介護離職をなくすため、サービスを使いやすい環境を維持すべき」といった声があがった。

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当初は昨年末に決着をつけるはずだったこのテーマ。急激な物価高騰や他産業の賃上げなどで状況が複雑化したほか、「異次元の少子化対策」の財源論も含めて幅広く検討する必要性が生じたこともあり、結論は今年末まで先送りされた。会合では自治体の関係者が、混乱を避けるためにできるだけ早く大枠の方針を明らかにして欲しいと呼びかけたが、厚労省はこうした要請にまだ応えられそうもない。


最終的には政府・与党がその責任で決めることになる。国の財政が厳しさを増し、介護現場からは施設・事業所の経営支援、介護職員の処遇改善を訴える要望書も届いているなか、政権は非常に難しい判断を迫られそうだ。衆議院の解散・総選挙の時期など今後の政治状況が大きな影響を及ぼす、と指摘する関係者も多い。


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