今年の福祉用具専門相談員研究大会が22日、リアルとオンラインのハイブリッドで開催された。【Joint編集部】
国の審議会の会長など多くの要職を務めてきた、慶應義塾大学の田中滋名誉教授が講演。人手不足がより深刻化する2040年を見据えた介護業界のあり方などを語った。
「このままでは2040年以降は乗り切れない」。田中教授は1000人を超える聴衆に対し、介護現場で様々なテクノロジーを活用していくことの重要性を訴えた。
これから介護ニーズが一段と高まっていくこと、人手不足が介護だけでなく幅広い業界で顕在化していくことなどをあげ、こうした全体のトレンドは大きくは変えられないと説明。「では何が変えられるのか。1つはICT化、DXなどで生産性を向上させ、サービスの質を落とさずに働く人の必要数を減らすことだ」と指摘した。
配膳や掃除、記録、見守り、体位変換の一部などを例に出し、「人手不足が避けられない以上、“これはどうしても人間でなければできない”ということ以外は、機械にどんどん任せていけばいい」と提言。「積極的に取り入れる努力をして、徐々に使い慣れていけば変わっていく」と対応を促した。
田中教授は最後に、「介護職は要介護者だけでなく、日本で日々働いている幅広い世代の人たちの生活を支えている。誇りを持ちましょう」とエールを送った。あわせて、「変えられない未来もあるが、まだ変えられる未来についてはやはり変えていく必要がある」と呼びかけた。