高齢者の特別養護老人ホームの入所基準について、厚生労働省は見直しを検討していく考えだ。今後の介護保険制度改正に向けた議論を進めている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)の25日の会合で、このテーマを論点として扱う意向を明らかにした。【Joint編集部】
既存の資源をより柔軟に、効率的に活用していくこともできるのではないか、という発想がベースにある。
厚労省は審議会で、「入所申し込み者の実態、高齢化の進行状況やそれに伴う介護ニーズは地域によって異なる」と指摘。「特養の入所基準のあり方をどう考えるか」と提起した。あわせて、「地方を中心に、高齢者人口の減少により待機者が減少している、定員が埋まらず空床が生じている、という声がある」との認識も示した。
現行、特養の入所基準は原則として要介護3以上の高齢者とされている。要介護1、2の高齢者の入所が認められるケースもあるが、それはやむを得ない事情で在宅生活が難しい場合の特例という位置付けだ。
厚労省の論点の提示を受けて、小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は、「在宅サービスを十分に受けられない地域もある。要介護度のみで入所を判断するのではなく、利用者本位の現実に即した対応とすべき」と主張。津下一代委員(女子栄養大学特任教授)は、「施設の有効活用をきちんと視野に入れていかなければならない」と述べた。