通所介護、通所リハの事業所にとって、大きなリソースを割いている送迎業務の効率化が重要な課題となっている。そこで、ダイハツ工業株式会社の送迎支援システム「らくぴた送迎」を導入した現場を取材した。職員の負担軽減やサービスの質の向上につながったと評価する声があがっている。【Joint編集部】
◆「らくぴた送迎」ってどんなシステム?
ダイハツの「らくぴた送迎」は、送迎前、送迎中、送迎後の業務をトータルでサポートするシステム。個々の住所や車両などの情報を入力しておけば、利用者の毎日の送迎計画を簡単に作成することができる。
パソコン画面には、利用者の自宅の場所や各行程の出発・到着時間などが分かりやすく表示され、直感的な操作で編集が可能。利用者の急なお休みなどによる送迎順の変更にも、手間なく対応できる。
送迎中は事業所のパソコンとドライバーのスマホが連携。事業所から車両の位置をリアルタイムに把握でき、キャンセル・変更などの連絡を音声読み上げ付きのメッセージで送れることから、ドライバーは面倒な通話のための停車も不要となる。
また、送迎車両が前の利用者宅を出発する時に、次の利用者にまもなく到着することを知らせる音声ガイダンスの電話を自動発信できる。個別の申し送り事項をスマホで確認でき、対応の不備・忘れの防止につなげられる点も実用的だ。
送迎後は実績データを活かせる。システムが実際の移動・乗降時間を学習し、その時間を計画に反映させるほか、車両の稼働率や満席率などを見える化。事業所はそれを更なる業務改善に役立てることができる。
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◆ 実際に導入した事業所の効果は?
導入済みの事業所の感触はどうなのか。全国で介護事業を展開する株式会社ヤマウチの通所介護「ジョイリハプラス大師前(足立区)」を訪ね、マネージャーの土肥幸太さんに話を聞いた。
−−「らくぴた送迎」を導入する前の送迎業務の状況を教えて下さい。
計画づくりに多くの時間をかけていました。定期的な異動などもあるため、事業所周辺の土地勘が十分にない職員も少なくありません。新規のご利用者様を含め、1件1件の住所を確認して最適なルートを検討する作業はとても大変です。
計画作成者、またはドライバーによってルートが異なり、送迎時間にばらつきが出ることも課題でした。送迎業務が属人化されてしまうと、その人が休んだ時や異動の引き継ぎの時に重い負担が生じます。
−− そうした課題は解決されましたか?
かなり楽になりました。誰でもスピーディーに計画を作成でき、日々のルートをドライバーとすぐに共有することができます。
実は私も、異動してきた当初は土地勘が全くなかったのですが…。元々いた社員が体調不良で休んだ時も、全く問題なく対応することができました。「属人化→標準化」の効果はかなり大きいと思います。
また、送迎表を印刷してドライバーに渡す必要もなくなりました。紙を用意する煩わしさが消え、個人情報漏洩の心配も格段に小さくなったと感じています。
−− ドライバーには高齢の方もおられますよね。導入はスムーズに進みましたか?
特に問題はありませんでした。スマホで全て完結できますし、特に通話がほぼ不要になるところが大きいようです。
うちの事業所では以前、ドライバーが送迎中に電話をかける回数が月100件弱ありました。それがなくなり、より落ち着いて運転できるようになったわけですから、心の余裕が生まれやすくなるんだと思います。
今ではもうすっかり慣れて、「こっちの方が全然いい」と言ってくれます。渋滞などで到着時間が遅れている場合の現在地の確認なども容易ですので、管理する立場としても非常に助かっています。
−− 負担が軽くなれば良い効果も生まれそうですね。
そうなんです。新たに生じた時間をご利用者様の対応に充てられますので、必然的に良い循環が生まれてきます。事業所で配慮が行き届くようになると、やっぱり地域の評判も良くなるなと感じました。職場環境の改善は人材の採用・定着にもプラスです。
私の仕事には、介護報酬の加算の算定に関することなども含まれますが、そうした業務の精度も上がりました。同僚社員の残業も減ったので、とにかく良かったなと思っています。
−− ありがとうございました。
◆ 多様な通所事業所の形態に対応!
次に、複数のサービス形態の運営に携わる責任者を訪ねた。河北医療財団あいクリニックの通所リハ「デイケアオリーブ(多摩市)」で管理者を務める河原なつみさん。ここのマネジメントに加えて、同法人によるリハ特化型半日デイ(通所介護)のサポートも行っている。サービス形態の違いも考慮したシステムの実用性をどう考えているのだろうか。
−−「らくぴた送迎」を導入して最も良かったことを教えて下さい。
計画作成の段階で言うと、やはり業務負担が減って属人化が解消されるということですね。ここでは事業所の相談員が担当しているのですが、ご利用者様・ご家族様の支援や新規受け入れ対応などにより多くの時間を割けるようになりました。
ドライバーさんは、頻繁な通話が不要になったこと、運転に集中できることを喜んでいます。ご利用者様・ご家族様も、音声ガイダンスの電話連絡にすぐに慣れてくれました。スマホのナビ機能も非常に便利です。ドライバーが急に休んだ時も、代わりのドライバーが迷わずに運転できることは大きなメリットだと感じました。
また、居宅介護支援のケアマネジャーから新規受け入れの相談があった時に、速やかに回答できるところも利点です。送迎が可能かどうか、従来の業務方法では迅速に判断することが難しく、本来なら受けられたご利用者様を逃してしまうこともありました。こちらの返答が早いと、ケアマネさんも喜んでまた次も紹介してくれるようになります。
−− 通所リハとの相性はどうですか?
いいですね。通所介護より少し平均要介護度が高く、一定の医療ニーズがあるご利用者様も多いです。
必然的に、車両に積み込める車いすや歩行器の台数など考慮すべき要素が多くなります。お迎えの到着をヘルパーさんも待っていますので、時間通りの運行や頻繁な連絡なども欠かせません。ですから、計画策定やコミュニケーションを効率化できる「らくぴた送迎」がすごく役に立っています。
−− 現在、「らくぴた送迎」を導入されているのは通所リハだけだそうですね。リハ特化型半日デイの事業所でも有効に活用できると思いますか?
相性は良いのではないでしょうか。むしろそちらの方が向いているのかもしれません。
1日2回で送迎時間が決まっていることもあり、業務効率化の成果がより大きく出るだろうと思います。複数の小型車両を使う、職員兼ドライバーが1人で運行する、という特徴ともマッチすると感じました。自動の電話連絡などが非常に頼れる機能となり、送迎の安全性も大幅に高まります。
小規模なリハ特化型半日デイの事業所こそ、「らくぴた送迎」を導入すれば様々な面でメリットを得られるのではないでしょうか。
−− 法人内で引き続き活用していきたいと思いますか?
操作もシンプルで分かりやすいですし、ドライバーもご利用者様も既に慣れています。今なくなったら困ります。今後、「らくぴた送迎」を使う事業所を更に増やしていければいいなと思っています。
−− ありがとうございました。
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◆ ダイハツが重んじたこと、目指すこと
ダイハツはどんな問題意識を持って「らくぴた送迎」の開発を進めてきたのだろうか。福祉介護MaaS分野を牽引する日野昌浩氏に話を聞いた。
−− 自動車メーカーのダイハツが「らくぴた送迎」の開発を始めた経緯を教えて下さい。
現在、弊社では7車種の福祉車両を展開しています。そのユーザーの皆さんの困りごとを解決しよう、という取り組みがそもそもの始まりでした。
2015年のスタート当時、販売会社の皆さんと共に専門チームを立ち上げて、全国3万ヵ所以上の介護現場を回って声を聞きました。そこで、通所介護の皆さんのお悩みとして最も多く話題にあがっていたのが、送迎業務の重い負担だったんです。
−− 送迎業務の効率化への関心が、ここにきてぐっと高まってきたようです。
深刻な人手不足への対応が急務となるなか、厚生労働省も送迎業務の効率化を現場に促すようになりました。職員さんの重い負担となっており、業務改善の伸びしろが大きいためです。
送迎業務の効率化が通所介護の経営の重要なカギになる − 。そうした意識が、業界でかなり高まっていると感じます。
−−「らくぴた送迎」の開発でこだわったことを教えて下さい。
それは色々あるのですが、1つはUI(ユーザーインターフェース)ですね。分かりやすいかどうか、使い勝手がよいかどうかは重要で、介護現場の声を多く取り入れてきました。
例えば、ホワイトボードにご利用者様の名前を書いたり付箋を貼ったりして状況を整理している事業所が多かったため、ホワイトボードのマグネットを動かすような感覚で操作できるデザインにしました。お客様の現場に足を運んで実際に仕事を見て、それに合った仕様を追求するというダイハツイズムを大切にしたつもりです。
−− 他に“推しポイント”はありますか?
蓄積データの活用による送迎業務の見える化もあげたいです。個々の事業所の実情に応じた業務改善につなげることができます。
例えば、日々の満席率の分析やルートの効率化などにより、車両の台数を減らしたりサイズを小さくしたりできることが分かり、コスト削減につなげられた例もありました。送迎時間の正確さが高まったことで、ご利用者様の満足度が上がったという嬉しい報告もいただいています。
−− 今後、どのような事業展開を考えていますか。
事業所の規模、サービス形態、地域性などによって、事業者さんのニーズは多様です。我々はその全てに応えられる送迎支援システムを開発していき、今後も利便性を追求していきます。
例えばリハ特化型半日デイですと、1日にご利用者様が複数回入れ替わるため送迎計画もより複雑になり、効率化の重要性もより高まるのではないでしょうか。「らくぴた送迎」ではそうしたサービス形態にも対応できる機能をご提供していきます。事業所さんの期待も大きいので、引き続きしっかりと下支えできるよう力を入れていきます。
−− ポスト2025年は人手不足がより深刻化する見通しです。
業務効率化への関心が高まる一方で、送迎領域でシステムが課題解決をお手伝いできることはまだまだ知られていないと感じています。「もっと早く知りたかった」「システムでこんなに楽になるなんて!」というお言葉をいただくこともありますので、もっと広くご認知いただき現場により良いものをお届けしたいと思っています。
我々も課題解決の一助になるべく努めていきます。これから2040年にかけて、デイサービスの皆さんのニーズが本当に高まっていくプロセスの中で、より良いサポートができるよう汗をかいていくつもりです。
−− ありがとうございました。
《らくぴた送迎に関するお問い合わせ先》
らくぴた送迎サポートデスク:0120-994-292(フリーコール)
受付時間:月〜金曜日 9:00〜12:00・13:00〜17:00
(祝日、GW・夏季・年末年始休暇などの当社指定休日を除く)
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